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アライグマは「特定外来生物」——捕まえたら違法?正しい対処の手順

アライグマって、そもそもどんな動物?

アライグマは北米原産の動物で、体長40〜60cm、体重4〜10kgほどになります。目の周りの黒い模様と縞模様の尻尾が特徴的で、テレビや映画を通じて親しみを感じている方も多いかもしれません。

じつは日本へのアライグマの定着は、1970〜80年代のペットブームがきっかけでした。アニメ「あらいぐまラスカル」が人気を集めた影響もあり、当時は多くの家庭でペットとして飼われていました。しかし成長すると気性が荒くなるため飼えなくなったものが捨てられたり逃げ出したりして、野生化していったのです。

その後、アライグマは急速に繁殖し、現在では北海道から九州まで広い範囲で生息が確認されています。特に北海道と神奈川県では確認頭数が多く、農村部だけでなく都市近郊の住宅地や公園でも目撃例が後を絶ちません。繁殖力が高く、メスは年1回・1回に3〜7頭の子どもを産むため、個体数の抑制は簡単ではありません。

「特定外来生物」に指定されているとはどういうこと?

アライグマは2005年に施行された「外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)」によって、特定外来生物に指定されています。

この指定を受けると、国の許可なく次のことを行うことが禁じられます。

  • 飼育・保管 ── すでに飼っていた場合は経過措置がありましたが、新たに飼い始めることは原則禁止です
  • 輸入・販売・購入 ── ペットショップでの売買も禁止
  • 野外への放出 ── 捕まえたものを「山に返す」行為も違反になります
  • 国外への持ち出し ── 海外への輸送も禁止

違反した場合、個人で3年以下の懲役または300万円以下の罰金、法人では1億円以下の罰金の対象となります。「かわいそうだから捕まえて飼ってあげよう」という気持ちはわかりますが、その行為自体が法律に触れてしまうため注意が必要です。

また、捕獲も個人には原則として認められていません。農作物被害を防ぐための捕獲であっても、都道府県知事の許可を得た上で行うことが求められます。「侵入してきたアライグマを自分で罠にかけて捕まえる」という行動は、善意であっても違法になる可能性があります。

アライグマが引き起こす被害の実態

見た目のかわいらしさとは裏腹に、アライグマは非常に器用で知能が高い動物です。手先が器用でラッチ程度なら開けてしまうこともあり、一度住み着かれると追い出すのが難しい相手です。

農作物への食害

トウモロコシ・ぶどう・スイカ・スイートコーンなどは特に狙われやすく、農家にとっては深刻な問題となっています。農林水産省のデータによれば、全国の野生鳥獣による農業被害のうちアライグマが占める割合は年々増加しており、被害額は数十億円規模に上ると見られています。収穫直前に根こそぎ食い荒らされるケースもあり、農家の精神的なダメージも小さくありません。

屋根裏・天井裏への侵入

アライグマは木登りが得意なため、屋根の隙間から侵入して天井裏を住み処にすることがあります。住宅への侵入が確認されると、以下のような被害が生じます。

  • フン尿の蓄積 ── 大量のフンが積み重なり断熱材が傷んでいく
  • 断熱材の破壊 ── 巣材として引き出したり踏み荒らしたりして断熱性能が低下する
  • 異臭 ── フンやオシッコの臭いが2階の部屋にまで漏れてくることがある
  • 電線をかじる ── まれに電線をかじって漏電・火災のリスクにつながる

天井裏の修繕費用は10万〜数十万円に及ぶことも多く、早期発見・早期対処が経済的な損失を小さくするポイントです。

感染症リスク

アライグマは「アライグマ回虫(Baylisascaris procyonis)」の自然宿主です。この回虫の卵はフンの中に大量に含まれており、乾燥したフンが砕けて舞い上がった粉を吸い込むと感染する可能性があります。神経系に深刻なダメージを与えることもある寄生虫で、素手・素顔での天井裏作業は避けてください。

また、北米では狂犬病ウイルスの主要な動物宿主のひとつでもあります。日本国内での狂犬病は現在ゼロとされていますが、アライグマが媒介する可能性のある病原体は複数あります。犬やネコが噛まれた場合も、必ず獣医師に相談しましょう。

在来生態系への影響

アライグマは雑食性が強く、川沿いでは魚・カエル・ザリガニ・水鳥の卵なども食べます。在来の生き物の生息環境を圧迫し、生態系のバランスを崩す存在として、環境省も継続的な防除を推進しています。

見かけたとき・侵入されたときの正しい手順

まず、自分で何とかしようとしないこと

アライグマの問題でやってはいけないのは、「自分で罠を仕掛けて捕まえる」「追い払おうと直接近づく」ことです。法律上の問題に加え、直接近づくと噛まれたり引っかかれたりするリスクがあります。アライグマは見た目に反して攻撃的になることがあり、特に子育て中のメスには注意が必要です。

市区町村の窓口に相談する

まずはお住まいの市区町村の農林・環境担当窓口、または都道府県の自然環境担当部署に連絡してみましょう。多くの自治体では捕獲罠の貸し出しや業者の紹介を行っています。

連絡する際に伝えるとスムーズな情報:

  • 目撃または侵入を確認した場所・日時
  • 頭数(おとな・子どもの別がわかれば)
  • 侵入の場合は侵入箇所の状況(屋根・換気口・床下など)
  • 写真や動画(あれば)

専門業者への依頼

天井裏への侵入が疑われる場合は、消毒・フン清掃・侵入口の封鎖まで一括で対応してくれる害獣駆除業者への依頼が確実です。フン処理は感染症リスクがあるため、専門装備を持つプロに任せるのが安全です。複数社から見積もりを取り、保証内容も確認した上で依頼しましょう。

侵入を防ぐ環境づくり

被害を受けた後の修繕だけでなく、事前の予防も大切です。

  • 屋根の隙間を塞ぐ ── 軒下・換気口・破風板(はふいた)の隙間は金属メッシュで塞ぐ
  • ゴミを適切に管理する ── 生ゴミの放置はアライグマを呼び寄せる原因になります
  • 果実を早めに収穫する ── 庭木の熟した果実は放置しないようにしましょう
  • ペットのエサを外に出しっぱなしにしない ── 残したエサがアライグマを引き付けます
  • 電気柵の活用 ── 農地ではアライグマ用の電気柵が有効で、自治体が補助金を出しているケースもあります

お近くでのアライグマ目撃情報は、地図でエリアの傾向を確認してみてください。目撃エリアに近い物件では、早めに予防策を取り入れておくと安心です。

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気になること

アライグマを捕まえたり飼ったりすることはできますか?

外来生物法により、アライグマは特定外来生物に指定されています。許可なく捕獲・飼育・輸送・販売することは法律で禁止されており、違反した場合は個人で3年以下の懲役または300万円以下の罰金の対象となります。

アライグマが家に出た場合はどうすればいいですか?

自分で捕まえようとするのではなく、まず市区町村の農林・環境担当窓口か専門の駆除業者に連絡してください。屋根裏に入り込んでいる場合は、フン害・断熱材の損傷・感染症リスクなどがあるため、早めの対応が大切です。

アライグマの被害にはどんなものがありますか?

農作物(トウモロコシ・ぶどう・スイカなど)への食害、屋根裏への侵入によるフン害・断熱材の損傷・異臭、アライグマ回虫などの感染症リスクが主な被害です。

アライグマはどこに多いですか?

北海道・関東・東海・近畿など全国各地で生息域が拡大しています。特に北海道と神奈川県では確認頭数が多く、農村部だけでなく住宅街の屋根裏や公園でも目撃が増えています。