地域別・日本の害虫・害獣問題 ── 北海道から沖縄まで
同じ日本でも「出る生き物」は地域で大きく違う
害虫・害獣の問題は、気候・地形・市街地の密度・農地との関係などによって、地域ごとに大きく異なります。引っ越しを検討しているなら、物件そのものだけでなく、その地域ではどんな生き物が課題になっているかも知っておくと参考になります。
北海道 ── エゾシカと農業被害、寒冷によるゴキブリの少なさ
北海道で最も深刻な害獣被害はエゾシカによるものです。農作物・樹木・牧草への食害は広範囲にわたり、農林業への経済的損失は毎年数十億円規模にのぼります。また、市街地周辺でのヒグマとの軋轢も継続的な課題です。
一方、寒冷な気候のためゴキブリの屋内定着は本州と比べてずっと少なく、一般家庭での遭遇頻度はかなり低い傾向があります。
東北・関東 ── イノシシの北上とアライグマの拡大
東北地方ではイノシシの生息域が温暖化の影響もあって年々北上しており、かつてはほとんど見られなかった地域でも農作物被害が報告されるようになっています。
都市郊外ではアライグマ(北米原産の外来種)の分布が関東を中心に広がっており、農作物の食害や屋根裏への侵入被害が問題になっています。クマネズミは大都市部を中心に生息し、高層建物への適応も進んでいます。
近畿・東海・中部 ── ヌートリアの主要生息域
外来種ヌートリアの日本における主要な生息域は、大阪・兵庫・愛知・岐阜・三重など近畿・東海地方の河川沿いです。農業用水路や河川の土手に巣穴を掘り、水稲・野菜・果樹への被害が継続しています。堤防を掘り崩すことで治水上のリスクも指摘されています。
都市部ではゴキブリ(チャバネゴキブリ・クロゴキブリ)とネズミが一般的な問題として続いており、古いビルの多い繁華街では特に発生密度が高くなる傾向があります。
中国・四国・九州 ── 温暖化でヌートリアが西進
ヌートリアは西日本各地でも分布を拡大しており、岡山・広島・山口・福岡など中国・九州地方での目撃も増えています。温暖化の影響もあり、今後さらに分布が広がる可能性が指摘されています。
九州は温暖な気候のためゴキブリが活動できる期間が長く、屋外でも個体を見かける機会が本州より多くなります。
沖縄 ── 熱帯系ゴキブリと固有の課題
沖縄では、本州ではほとんど屋外で見られないワモンゴキブリやトビイロゴキブリなど大型の種が屋外でも年中活動します。夏場に戸外で大型のゴキブリと遭遇することは珍しくなく、本州とは感覚が大きく異なります。
南西諸島固有の生態系をめぐる問題もあり、外来種(マングースなど)の影響が固有種に及んでいます。
地域の「今」を地図で確認してみましょう
上記はあくまで地域ごとの大まかな傾向です。実際の状況は市区町村・建物の種類・周辺環境によっても変わります。引っ越し先のエリアや現在住んでいる場所の周辺の目撃情報は、地図で確認してみると参考になります。
気になること
北海道でゴキブリの被害が少ない理由は何ですか?
寒冷な気候のためゴキブリの屋内定着が本州と比べてずっと少なく、一般家庭での遭遇頻度はかなり低い傾向があります。ただし、エゾシカによる農林業被害や市街地周辺でのヒグマとの軋轢など、北海道固有の害獣問題は深刻です。
ヌートリアが多く見られる地域はどこですか?
日本における主要な生息域は大阪・兵庫・愛知・岐阜・三重など近畿・東海地方の河川沿いです。近年は中国・九州地方でも分布が拡大しており、温暖化の影響もあって岡山・広島・山口・福岡などでの目撃が増えています。
関東・東北でアライグマが増えている理由は何ですか?
アライグマは北米原産の外来種で、もともとペットとして輸入されたものが野生化しました。適応力が高く農作物への食害や屋根裏への侵入被害が問題になっており、東北地方ではイノシシも温暖化の影響で生息域を年々北上させています。
沖縄ではなぜ本州と異なる種類のゴキブリが多いのですか?
沖縄は年間を通じて温暖な気候のため、本州ではほとんど屋外で見られないワモンゴキブリやトビイロゴキブリなど大型の熱帯系の種が屋外でも年中活動できます。夏場に戸外で大型のゴキブリと遭遇することも珍しくなく、本州とは感覚が大きく異なります。