害虫・害獣がもたらす経済的損失 ── 農業・建物・食品への目に見えにくいコスト
害虫・害獣の被害は、思っている以上に広い
「ゴキブリが出た」「ネズミの音がする」という体験は不快なものですが、それが経済的損失に直結しているという意識を持ちにくいかもしれません。しかし農業・食品・建物・医療・観光など、害虫・害獣の影響は幅広い分野に及んでいます。
農業への被害
FAO(国連食糧農業機関)の推計によると、世界全体で農作物の約20〜40%が害虫・病害・雑草によって失われているとされています。農業生産の場では、ゴキブリよりもむしろアブラムシ・ウンカ・コガネムシなどの農業害虫が主役ですが、ネズミ類も収穫前の穀物や果樹に深刻な被害を与えます。
日本では農林水産省が毎年、鳥獣被害の統計を公表しています。近年の農作物被害額は年間150〜160億円台で推移しており、主な加害種はシカ・イノシシ・サルですが、ヌートリアやイタチ類による被害も西日本を中心に報告されています。収穫直前に食べられてしまうケースも多く、農家の精神的・経済的なダメージは統計の数字以上に大きいといわれています。
建物・インフラへの被害
ネズミは歯の伸長を抑えるために硬いものをかじる習性があります。これが建物内で起きると、電気配線の被覆を削ってしまい、漏電や火災の原因になることがあります。日本の建物火災の原因として、ネズミによる配線のかじりが関与しているケースは少なくないとされています。
断熱材や構造材をかじられることで、建物の修繕費が発生する場合もあります。賃貸住宅では、貸主・借主どちらが負担するかをめぐってトラブルになることもあります。
食品産業への影響
食品工場・飲食店・スーパーに害虫・害獣が侵入した場合、衛生基準を満たせなくなることで営業停止・商品回収・廃棄といった損失が生じます。ゴキブリが食品に混入したことによるクレーム・回収事案は国内でも定期的に報告されており、ブランドイメージへの打撃も含めると実際の損失は表面上の数字より大きくなります。
「駆除費用」より「予防費用」がずっと安い
すでに住み着いてからの対応は、予防と比べてコストが大きくなります。業者による全館調査・薬剤処理・封鎖工事となると、数万〜数十万円規模になることもあります。隙間を塞いだり食品を管理したりする日常的な予防の費用とは比べものになりません。
「被害が出てから気づく」を防ぐためにも、周辺の目撃情報を地図であらかじめ確認しておくことは、リスクを事前に把握する手段のひとつになります。
気になること
害虫・害獣による農作物の被害はどのくらいの規模ですか?
日本では農林水産省が毎年統計を公表しており、近年の農作物被害額は年間150〜160億円台で推移しています。FAOの推計では、世界全体で農作物の約20〜40%が害虫・病害・雑草によって失われているとされています。
ネズミが建物に与える経済的な被害にはどのようなものがありますか?
ネズミは歯の伸長を抑えるために電気配線の被覆をかじる習性があり、漏電や火災の原因になることがあります。断熱材や構造材をかじられて修繕費が発生する場合もあり、賃貸住宅では貸主・借主間のトラブルに発展することもあります。
飲食店や食品工場でゴキブリが出た場合、どのような損失が生じますか?
衛生基準を満たせなくなることで営業停止・商品回収・廃棄といった直接損失が生じます。食品への混入によるクレームや回収事案はブランドイメージへの打撃を伴い、実際の損失は表面上の数字より大きくなります。
駆除費用と予防費用ではどちらが安く済みますか?
予防のほうが圧倒的に安く済みます。すでに住み着いてからの業者による全館調査・薬剤処理・封鎖工事は数万〜数十万円規模になることがあります。隙間を塞いだり食品管理を徹底したりする日常的な予防の費用とは比べものになりません。
ヌートリアは農業にどんな被害を与えますか?
水田の稲や野菜・果樹を食い荒らすほか、堤防の内部に巣穴を掘って護岸を崩しやすくするため農業用水路や治水インフラへの影響もあります。西日本を中心にヌートリアやイタチ類による農業被害が報告されており、収穫直前に食べられるケースも多く農家の精神的・経済的ダメージは統計の数字以上とされています。