害虫・害獣ビジネスの市場規模 ── 世界でホットな国はどこ?
害虫・害獣の駆除は、家庭の困りごとだけではありません。世界では「ペストコントロール(pest control)」と呼ばれる害虫防除が大きなビジネス産業に育っており、都市化・気候変動・感染症リスクへの意識の高まりを背景に市場規模が拡大し続けています。
世界市場の概要と成長ドライバー
世界の害虫防除市場は現在、数兆円規模(調査機関によって試算値は異なりますが、2020年代半ば時点で25兆円前後という推計もあります)に達しており、年率5〜7%程度で成長しています。
成長の背景には、主に3つの要因があります。
- 都市化の進行 ── 世界中で都市部への人口集中が続いており、食品・廃棄物・建物が密集するほど害虫の発生リスクが高まります
- 気候変動 ── 温暖化により害虫の生息域が拡大し、これまで発生が少なかった地域にも新たな種が定着しつつあります
- 感染症リスクへの意識の高まり ── 新型コロナウイルスのパンデミック以降、衛生管理の重要性が世界的に再認識され、飲食業・ホテル・医療施設での防除需要が伸びました
市場が大きい国・急成長する地域
現時点で最大の市場はアメリカです。広大な国土と農業・食品産業の規模を反映して、住宅・農場・倉庫など幅広いセクターで防除サービスが普及しています。Terminixやオーキンなど、全国規模で事業展開する大手チェーンが存在します。
急成長が著しいのは東南アジア・インドです。急速な都市化とともに衛生意識が高まり、デング熱・マラリアなどの媒介蚊への対策需要が市場を牽引しています。インドではゴキブリ・シロアリの防除サービスが急拡大しており、地場企業に加えてグローバル企業の参入も相次いでいます。中国も都市部を中心に市場が拡大しており、食品安全規制の強化が業界の成長を後押ししています。
日本市場の特徴
日本の害虫防除市場は規模こそアメリカに及びませんが、独自の特徴があります。
- 技術力と薬剤品質の高さ ── 少量で高効率、ニオイが少ないといった日本製薬剤の品質は海外でも高く評価されており、アジア各国への輸出・技術協力も行われています
- 高齢化に伴う需要増 ── 独居高齢者が増えることで、住宅の害虫・害獣管理を外部業者に委ねる需要が高まっています
- 外来種対応 ── セアカゴケグモ・ヒアリ・ヌートリアなど外来種への対応需要が新たな市場を生み出しています
注目のテクノロジー
害虫防除の現場にも技術革新が起きています。
- IoTトラップ ── センサー内蔵の捕獲装置が捕獲を感知すると管理システムに自動通知します。見回り作業を減らしながら早期発見を実現します
- ビッグデータ活用 ── 気象データ・過去の発生履歴・地域の土地利用データを組み合わせて、発生しやすいエリアや時期を予測するシステムが研究・実用化されています
- ドローン防除 ── 農地や広大な施設で薬剤散布をドローンで行う手法が普及しつつあります
害虫・害獣の目撃エリアをリアルタイムで把握することは、こうした予防型アプローチの出発点でもあります。地図でお近くの報告状況を確認することで、地域の傾向を肌感覚で知ることができます。
気になること
日本の害虫防除市場の規模はどのくらいですか?
日本の害虫防除(ペストコントロール)市場は数千億円規模とされており、高齢化に伴う住宅メンテナンス需要の拡大や、外来種への対応需要の増加によって安定した成長が続いています。技術力・薬剤品質の高さで海外からの評価も高く、アジア各国への技術輸出も行われています。
害虫防除の仕事は個人でも参入できますか?
駆除業者として開業するためには、特定の害虫(ゴキブリ・ネズミ等)を扱う場合に「防除作業監督者」の資格取得や、地方自治体への届出が必要なケースがあります。個人事業主として参入している方もいますが、薬剤の適切な取り扱い・安全管理の知識は不可欠です。まずは既存業者でのキャリアを積むルートが一般的です。
害虫防除業界の将来性はどうですか?
気候変動に伴う害虫の生息域拡大、都市化の進行、新興国での衛生意識の高まりなどを背景に、世界市場は今後も年5〜7%程度の成長が見込まれています。日本国内でも高齢化・外来種対策・食品工場への衛生要求強化などが需要を押し上げており、技術革新も進んでいることから将来性は高いとされています。
IoTトラップとはどのようなものですか?
IoT(モノのインターネット)技術を使ったネズミ・ゴキブリ捕獲装置で、罠に動物が入ったことをセンサーが感知してスマートフォンや管理システムにリアルタイムで通知します。定期的な見回り作業を減らしながら早期発見を可能にするもので、食品工場・倉庫・ホテルなどでの導入が増えています。