ニューヨークが生んだ「ラット・ツァー」とは? アメリカのネズミ対策に学ぶ
「ネズミ担当の責任者」という役職が生まれた背景
2023年4月、ニューヨーク市は「ディレクター・オブ・ロデント・ミティゲーション(齧歯類被害軽減統括官)」というポストを新設しました。メディアには「Rat Czar(ラット・ツァー)」という愛称で広く報じられ、初代に任命されたキャサリン・コラーディ氏が世界的に注目を集めました。
なぜそこまで大がかりな対応が必要だったのでしょうか。ニューヨーク市のネズミ問題は長年にわたって深刻で、地下鉄の駅や街角でネズミが走り回る様子は市民にとって「日常の風景」になっていました。市への苦情や被害報告は年間数万件に上り、食中毒リスクや建物への損害が積み重なってきた背景があります。
ニューヨークのネズミ対策の3つの柱
ゴミの出し方を変える
コラーディ氏が推進した取り組みのひとつが、ゴミの出し方の改革です。ニューヨーク市では長年、ゴミ袋を歩道に直接積み上げる形での収集が行われていました。これがネズミの最大のエサ場になっていたとして、蓋つきのゴミ容器への切り替えを段階的に義務化していきました。
地下の巣穴に直接介入する
地下に張り巡らされたネズミの巣穴(バロウ)に対して、薬剤や炭酸ガスを注入して直接駆除する方法も取り入れられました。地道な作業ですが、巣ごと数を減らす効果が期待されています。
コンポストの普及を進める
生ゴミを堆肥化する「コンポスト」の利用を広めることで、ゴミ置き場に生ゴミが集まりにくくする取り組みも進められました。ネズミのエサを断つことが、根本的な対策につながります。
日本の都市でも参考になること
「ゴミの管理が甘いとネズミが増える」というのは、日本の都市でも共通の課題です。飲食店が集まるエリアや古いビルが多い地域では、ゴミ置き場の管理がネズミの発生を大きく左右します。
マンションや住宅密集地に暮らしている場合も、以下の点を意識しておくと予防につながります。
- 生ゴミを密閉して捨てる ── においを外に出さないことが基本です
- ゴミ置き場の扉・蓋を必ず閉める ── 開けっ放しはネズミを招きやすくなります
- 収集日前夜の放置に注意 ── 翌朝までの時間帯に荒らされやすくなります
ネズミ対策は「個人の努力」だけでは限界がある
ニューヨークの事例が示しているのは、ネズミ対策が一個人の努力だけでなく、街全体の仕組みとして取り組む必要がある問題だということです。行政や管理組合が連携して動くことで、はじめて根本的な改善につながります。
まず自分の周りの状況を知ることが第一歩です。お近くでネズミの目撃が多いエリアは、地図で確認してみてください。
気になること
ニューヨーク市の「ラット・ツァー」とはどんな役職ですか?
正式名称は「ディレクター・オブ・ロデント・ミティゲーション(齧歯類被害軽減統括官)」で、2023年4月に新設されました。初代にはキャサリン・コラーディ氏が任命され、市全体のネズミ対策を統括する責任者として世界的に注目されました。
ニューヨーク市はどのようなネズミ対策を実施しましたか?
主に3つの柱があります。ゴミ袋を歩道に直置きする慣行から蓋つき容器への切り替え、地下の巣穴への薬剤・炭酸ガス注入による直接駆除、そして生ゴミをエサにさせないコンポスト普及の推進です。
なぜニューヨーク市はネズミ対策の専任ポストを設けるほど問題が深刻だったのですか?
ニューヨーク市のネズミ問題は長年にわたって深刻で、地下鉄駅や街角でネズミが走り回る光景が「日常の風景」になっていました。市への苦情や被害報告は年間数万件に上り、食中毒リスクや建物への損害が積み重なってきた背景があります。
日本の都市でも参考にできるネズミ対策はありますか?
「ゴミの管理が甘いとネズミが増える」という点は日本も共通です。具体的には、生ゴミを密閉して捨てる、ゴミ置き場の扉・蓋を必ず閉める、収集日前夜の放置を避けるといった日常的な対策が有効です。
ネズミ対策は個人の努力だけでは限界があるのでしょうか?
はい、ニューヨークの事例が示すとおり、根本的な改善には行政や管理組合が連携して街全体の仕組みとして取り組む必要があります。個人の対策はもちろん重要ですが、ゴミ置き場の改善など集合的な取り組みと組み合わせることで初めて効果が上がります。